フリードリヒ・カール・フォン・サヴィニー(1779-1861)の死後、その蔵書(および原稿、書簡)の一部はベルリンの王立図書館に這贈されたが、大部分は司教都市フルダにカトリック系大学を創設する構想との関係でフルダの聖堂に保管されていた。しかし、大学創設が頓挫したため、第二次大戦後サヴイニー家によって取り戻され、その大部分はボン大学、その余はマールブルク大学を初めとするいくつかの大学に譲渡された。
 このようにサヴィニーの蔵書等の大きな部分がサヴィニー家の手を離れたのに対して、フランクフルト近郊のハーナウに近いサヴィニー家の「トラーゲス農場」の領主館にあった個人蔵書だけは処分を免れ、サヴィニー生前の状態のままでサヴィニー家に秘蔵されていた。ところが近年、トラーゲス農場がゴルフ場に転用されることになり、1998年春、家具・装身具・美術品等とともにサヴィニーの個人蔵書もオークションにかけられる運命となった。桐蔭学園が取得し、「サヴィニー文庫」として保存・利用することになったのは、この蔵書のうち法学関係の主要部分(262 点、約480 冊)で、サヴィニー自身の著作を始め法学史上の多くの重要な文献を含んでいる(サヴィニーの『占有権論』第3版と第5版には、次の版のための著者自筆の補訂がある)。
 この「サヴィニー文庫」とは別に、桐蔭学園は、サヴィニーの主著『現代ローマ法体系』と『現代ローマ法の一部としての債権法』の仮綴じにサヴィニー自筆の補訂が加えられた手沢本(おそらく第2版の刊行を予定して書き込まれたにもかかわらず日の目を見ずに終わったもの。なお、『現代ローマ法体系』の第1巻と第3巻には補訂がない)、および、マールブルク大学で法学を学び始めて間もないザヴィニーが1796年に財務代理官ゲルトナーから贈られたユスティニアーヌス法典『法学提要』の袖珍本(扉にはその経緯についてのサヴィニー自筆の書き込みがある)をも取得し、「サヴィニー文庫」と併せて保管している。
桐蔭横浜大学 西洋法史研究所
所長 村上 淳一
Savigny文庫目録(PDF)
Catalog of Savigny Library
Knut Wolfgang Nörr・村上淳一編 
「現代ローマ法体系」第2版のためのSavigny準備稿.(PDF)
Knut Wolfgang Nörr・Junichi Murakami, Savignys Vorbereitung einer zweiten Auflage des “System des heutigen Römischen Rechts”.(PDF)
Savigny-Bibliothek
http://savigny.toin.ac.jp/savigny/
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